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1.会計基準の基本的考え方3.取得の会計処理ドキュメント情報


2.取得と持分の結合の考え方

(1)  持分の継続

 従来から、企業結合には「取得」と「持分の結合」があり、それぞれ異なる経済的実態を有するといわれてきた。企業結合が取得と判断されれば、取得企業の資産及び負債はその帳簿価額で企業結合後もそのまま引継がれるのに対して、被取得企業の資産及び負債は時価に評価替えされる。他方、企業結合が持分の結合と判断されるのであれば、すべての結合当事企業の資産及び負債はその帳簿価額で企業結合後もそのまま引継がれる。このような相違が生ずるのは、持分の継続が断たれた側では、投資家はそこでいったん投資を清算し、改めて当該資産及び負債に対して投資を行ったと考えられるのに対して、持分が継続している側では、これまでの投資がそのまま継続していると考えられるからに他ならない。取得の場合には、取得企業の持分は継続しているが、被取得企業の持分はその継続を断たれたとみなされている。他方、持分の結合の場合には、すべての結合当事企業の持分は継続しているとみなされている。このように、持分の継続・非継続により取得と持分の結合は識別され、それぞれに対して異なる会計処理が使い分けられてきた。
 これを企業の損益計算の観点からいえば、次のようになる。持分の継続が断たれてしまえば、そこで投資家はいったん投資を清算し、改めて当該資産及び負債に対して投資を行い、それを取得企業に現物で出資したと考えられる。したがって、再投資額が結合後企業にとっての新たな投資原価となるが、それは企業結合時点での資産及び負債の時価に他ならない。そのような投資原価を超えて回収できれば、その超過額が企業にとっての利益である。これに対して、持分が継続しているならば、そこでは投資の清算と再投資は行われていないのであるから、結合後企業にとっては企業結合前の帳簿価額がそのまま投資原価となる。この投資原価を超えて回収できれば、その超過額が企業にとっての利益である。このように、持分の継続・非継続は、企業にとっては投資原価の回収計算の違いを意味している。
 取得と持分の結合は、このように異なる経済的実態を有していると考えられるので、それぞれを映し出すのに適した会計処理を使い分けることが必要となる。いずれかの結合当事企業において持分の継続が断たれていると判断されるならば、対応する資産及び負債を時価で引継ぐパーチェス法が、すべての結合当事企業において持分が継続していると判断されるならば、資産及び負債を帳簿価額で引継ぐ持分プーリング法が、企業にとっての投資原価の回収計算すなわち損益計算の観点から優れている。持分の結合と判断される企業結合が存在する限り、それに適した会計処理方法を定めておくことは必要であると考えた。
 もちろん、持分の継続・非継続それ自体は、相対的な概念であり、具体的に明確な事実として観察することが困難な場合が多い。そこで、持分の継続を「対価の種類」と「支配」という操作可能な二つの観点から判断することとした。具体的には、ヾ覿鳩觜腓忘櫃靴道拱Г錣譴紳于舛里垢戮討、原則として、議決権のある株式であること、結合後企業に対して各結合当事企業の株主が総体として有することになった議決権比率が等しいこと、5跳荼比率以外の支配関係を示す一定の事実が存在しないこと、という三つの要件をすべて充たせば持分は継続していると判断し、そのような企業結合に対しては持分プーリング法を適用することとした。もし、いずれか一つでも要件を充たさなければ、持分の継続は断たれたと判断し、パーチェス法を適用することとした。すなわち、持分の継続という概念を柱にして持分の結合を識別し、それ以外はすべて取得と判断することとした。これは取得企業を識別できない場合を持分の結合と判定する方法とは異なり、異なる経済的実態を有する取得と持分の結合のうち、持分の結合を積極的に識別し、それ以外の企業結合を取得と判定するアプローチである。
 なお、,らまでの要件は、並列関係にあるのではなく、前者は後者の判定へ進むための必要条件である点には注意を要する。このような判定手順は、諸外国において持分プーリング法の濫用といわれてきたような、経済的実態が持分の結合ではない企業結合に持分プーリング法が任意で適用される事態を防止するためにも必要である。
 なお、議決権比率判定にあたっては、潜在株式の議決権行使の可能性を考慮することが必要である。

(2)  持分の継続と対価の種類

 企業結合に際して支払う対価の種類としては種々考えられるが、現金等の財産(負債の引受けを含む。)を対価とするものと、結合企業の株式を対価とするものとに大別できる。現金等の財産を対価として被結合企業の株式を取得した場合には、被結合企業の株主の持分が継続していないことは明白である。したがって、株式を対価とするもの以外は取得と考え、パーチェス法を適用することとした。
 また、交付株式を償還する取決めがある場合など、形式的には株式を対価としていても、実質的に現金の代わりに株式を使用していることも考えられる。しかし、それは、経済的実態として現金等の財産を対価とした企業結合と同じと考えられるので、そのことを識別しなければならない。そこで、そのための識別規準を対価の種類の判定の中に設けた。

(3)  持分の継続と支配

 持分の継続と支配の関係については、支配をより重視する最近の国際的な動向にも配慮し、企業結合に伴って支配・被支配の関係が生じたときは、支配される側の持分はそこで継続を断たれると考えることとした。
 支配・被支配関係の判定は、「議決権比率が等しいこと」及び「議決権比率以外にも支配・被支配関係を示す一定の事実が存在しないこと」という二つの要件を充たしているか否かで行うが、この二つは並列的な関係にあるのではない。議決権比率が等しいという要件は、持分が継続しているためのいわば必要条件であり、この要件を充たして初めて、議決権比率以外の要件の判定を行うことになる。過半数の議決権を取得すれば、結合後企業の最高意思決定機関である株主総会を支配することができ、本基準において議決権比率以外の要件の判定規準として掲げられている事項を左右する権限を有しているのであるから、議決権比率を用いた支配の判定は、支配・被支配を判定するいわば最大の実質規準である。したがって、議決権比率が等しくなければ、その段階で取得として判定されることになる。

 議決権比率による判定

 まず、議決権比率が等しいという要件であるが、厳密に言えば、これは結合当事企業が2社であれば、結合後企業に対して各結合当事企業の株主が総体として有することになった議決権比率が50 対50 であることを意味する。したがって、議決権比率が50 対50 でなければ、理論上は支配・被支配の関係が成立することになるが、実務的な配慮から、上下概ね5パーセントポイントの幅をもたせることとした。議決権比率の小さい側が実質上の取得企業として法的にも存続する可能性はあり、50 パーセント基準を機械的に適用するとそれを後述の逆取得として処理せざるを得なくなる。そうした実務上の不都合を減らすには、議決権の数値基準に多少の幅を持たせて議決権比率以外の要件の判断を加味する方が合理的とみられるからである。
 結合当事企業が3社以上の場合、持分の継続についてはいくつかの考え方ができる。まず、1社が他の2社以上を支配する場合に、他の2社以上の持分の継続が断たれたと考えることも一つであろう。しかし、この考え方は、1社の株主が結合後企業に対して過半数の議決権比率を有している場合にのみ、支配・被支配関係が成立することを意味するが、他の2社以上を一つのまとまりとして捉えて持分の継続を判定することになり、ここでいう企業結合が独立した第三者間の取引であることを考慮するならば、そのような捉え方には難があるといわざるを得ない。さらに、結合当事企業が2社の場合の要件を実質的に緩和する裁量を残すことになる。すなわち、2社であれば取得と判定される企業結合であっても、1社を加えて3社の企業結合とすることで持分の継続と判定することを可能にすることができる。これらの理由から、本基準ではこの考え方は採らないこととした。
 次に、各結合当事企業の株主の議決権比率を個別に検討して、その継続性を判定することも一つの考え方であろう。例えば、A、B、C社の株主の結合後企業に対する議決権比率が40 対40 対20 であるとする。A、B、C社は独立企業であること、持分の継続は相対的な概念であることを考慮するならば、A社とB社、A社とC社、B社とC社という形でそれぞれの持分の継続性を判定することになる。この例では、A社とB社の株主の持分は継続しており、C社の株主の持分は継続を断たれたと判定される。したがって、A社とB社の企業結合は持分プーリング法で処理され、C社についてはパーチェス法で処理されることになる。
 しかし、この考え方は、次のような別の問題を惹起する可能性がある。すなわち、企業結合の組み合わせをどう考えるかにより、会計処理の結果に差が生じてくることである。上記の会計処理は、まずA社とB社が企業結合し、その後AB社がC社を企業結合したという仮定が必要である。しかし、この仮定は、上記の企業結合から論理的に導かれるものではない。これ以外の仮定も可能である。例えば、まずB社とC社が企業結合し、次にBC社がA社を企業結合したと仮定すれば、B社とC社の企業結合は取得であり、BC社とA社の企業結合も取得と判定される。このように、各結合当事企業の株主の議決権比率を個別に検討して、その継続性を判定することになると、そこに裁量が働く余地が残ることになる。したがって、本基準では裁量の余地をできるだけ縮小するということを第一に考え、この考え方も採らないこととした。
 本基準では、結合当事企業が3社以上の場合、議決権比率が等しいか否かの判定は、議決権比率が最上位の企業の議決権比率を基準とし、他の各企業との議決権比率を結合当事企業が2社の場合の比率にそれぞれ還元した上で判定することとした。そして、最上位の企業と議決権比率が等しいと判定された企業が1社でも存在すれば、議決権比率が等しいと判定されなかった結合当事企業も含め、当該企業結合は議決権比率でみる限りは持分が継続していると考えて、議決権比率以外の要件の判定に進むこととした。
 もちろん、この考え方にも問題は残る。それは、議決権比率が等しいと判定されなかった企業の持分の継続性の判定が、議決権比率が等しいと判定された企業についての最終的な判定に結果として依存することである。確かに、このような問題は残るが、裁量の余地をできるだけ縮小することを第一に考えて、議決権比率が最上位の企業を基準とする判定方法を採ることとした
 議決権比率が等しいと判定されれば、いずれの株主も支配を獲得したとはいえないので、どの持分も継続していると考えられ、次の議決権比率以外の要件の判定に進むことになる。議決権比率が等しいと判定されなければ、議決権比率の大きい側の株主が支配を獲得し、議決権比率の小さい側の株主の持分は継続を断たれることになるので、この企業結合は取得であり、議決権比率の大きい側の企業が取得企業と判定され、パーチェス法が適用される。

 議決権比率以外の要件による判定

 次に、議決権比率以外の要件の判定では、結合後企業の意思決定機関を通じて、又は財務上若しくは営業上の重要な契約等を通じて、結合後企業を支配しているか否かを判定する。ただし、既に議決権比率が等しいという数値基準を充たしているのであるから、結合後企業の株主総会の支配関係について改めて株主を個別に分析してその支配関係を判定することは行わないこととした。また、企業結合日後2年以内に一方の結合当事企業の大部分の事業を処分する計画がある場合にも、支配関係が存在すると考えた。すなわち、事業を処分する計画がある結合当事企業は支配されると考え、持分の継続はそこで断たれると考えた。また、株式の交換比率が時価に基づいて算定した交換比率と一定以上乖離している場合には、多額のプレミアムが発生していると考えられるので、このような場合も持分の結合には当たらないと考えた。
 結合当事企業の一方が支配を獲得していないと判定されれば、この企業結合は持分の結合であり、持分プーリング法が適用される。他方、結合当事企業の一方が支配を獲得していると判定されれば、この企業結合は取得であり、支配を獲得していると判定された企業が取得企業と判定され、パーチェス法が適用される。

(4)  共同支配企業の形成

 共同支配企業の形成を本基準の対象としないことも考慮したが、その場合、共同支配企業か否かという会社形態の違いにより本基準の対象範囲を区別することになり、そこに裁量の働く余地が残ることになる。そこで、共同支配企業の形成も企業結合の定義に含め、それ以外の企業結合と一貫した考え方を適用することとした。
 ただし、共同支配企業の形成か否かの判定については、通常、共同支配であることが契約等から明らかであるので、そのような企業結合については、議決権比率による判定は行わずに議決権比率以外の要件による判定を行うこととした。その結果、実態として結合当事企業の一方が支配を獲得していると判定されれば、この企業結合を本基準にいう共同支配企業には該当しない取得とみなし、支配を獲得していると判定された企業を取得企業としてパーチェス法を適用することになる。

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