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第一 企業会計原則と減価償却第三 税法と減価償却ドキュメント情報


第二 商法と減価償却

 財産評価規定と減価償却

 商法の条文のうち減価償却に関係あるものは、固定資産の評価に関する次の二条である。

第三十四条 財産目録ニハ動産、不動産、債権其ノ他ノ財産ニ価額ヲ附シテ之ヲ記載スルコトヲ要ス其ノ価額ハ財産目録調製ノ時ニ於ケル価格ヲ超ユルコトヲ得ズ
 営業用ノ固定財産ニ付テハ前項ノ規定ニ拘ラズ其ノ取得価額ヨリ相当ノ減損額ヲ控除シタル価額ヲ附スルコトヲ得

第二百八十五条 財産目録ニ記載スル営業用ノ固定財産ニ付テハ其ノ取得価額又ハ製作価額ヲ超ユル価額、取引所ノ相場アル有価証券ニ付テハ其ノ決算期前一月ノ平均価格ヲ超ユル価額ヲ附スルコトヲ得ズ

 第二百八十五条の固定財産の評価に関する条文の解釈については、商法学者の間に意見の対立がみられる。本条をもって第三十四条第二項を受ける規定と解するものは、本条の取得・製作価額は当然に減価償却費を控除した価額でなければならず、固定財産について評価益を計上することはできないと主張する。
 これに対して本条をもって独立の規定と解するものは、いったん減価償却した後に時価が上れば、償却額を元にもどして取得・製作価額まで評価を高めることができると論ずる。後者は企業会計原則と全く相いれない解釈であるが、かかる見解が存在するのは、ひっきょう、商法の固定財産の評価および減価償却に関する規定がはなはだしく不備であるからにほかならない。
 ところで、これら二つの解釈のうち前者をとるとしても、これによって直ちに費用配分の原則に基づく正規の減価償却の観念が商法に存することにはならない。
 けだし、第三十四条第二項の規定の文言からいえば、取得原価から控除されるべき相当の減損額は、正規の減価償却の方法によらなくてもこれを評価することができると解釈される余地があるからである。たとえば、有形固定資産の物的損耗が現実に認められた場合にのみ、その損耗の程度を測定して減損額を評価すれば足りると解することも可能である。正規の減価償却にあっては、損耗が現実に認識されると否とにかかわらず、一定の減価償却計画に基づいて取得原価を計画的に費用化させてゆくが、上記の解釈による場合には、減損額は企業の判断によってそのつどしかるべく評価されるわけである。第三十四条第二項にいわゆる「相当ノ減損額ヲ控除」するとは、かかる任意、不規則の評価方式を意味するものと解されるおそれが大である。

 減価償却と損益計算

 減価償却は、財産評価の問題であると同時に損益計算の問題である。すなわち、減価償却は、減価償却引当金の繰入を通じて財産評価に関係するとともに、減価償却費の計上を通じて損益計算に関係するのである。商法第二百八十八条にいわゆる毎決算期の利益は、正規の手続に従って減価償却費が計上されるときにはじめて正しく計算される。減価償却費が過大又は過少である限り、毎決算期の利益は過少又は過大となり、配当可能利益の大きさもゆがめられることになる。
 減価償却費には、所定の計画に従い規則的に計上されるものと、計画の設定に当たって予見することのできなかった特殊事情等に基づいて臨時的に計上されるものとがある。企業会計原則は、毎決算期の経営成績を明らかならしめるために、当期純利益の算定に当たり計画的、規則的減価償却費を費用に計上し、臨時償却費はこれを繰越利益剰余金から控除する立場をとっている。商法においてもこの立場を尊重することが望ましい。

 商法改正に対する要望

 以上の考察に基づき、商法改正に際しては、次の諸点を考慮することが望ましい。

 費用配分の原則に基づく正規の減価償却の観念を商法上確立するために、固定資産の評価に関する規定において、償却資産たる有形固定資産の評価に関しては正規の減価償却手続に従わねばならないことを明らかにすること。

 正規の減価償却手続を含む適正な期間損益計算を基礎として、毎決算期の利益が算定されるべきことを明らかにすること。

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