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企業が「セグメント得情報の開示基準」に準拠して、適切な情報を開示しうるよう本制度の円滑な実施を図るためには、企業側の受入態勢が整備されなければならない。したがって、証券取引法に基づくセグメント情報開示の制度化に当たっては、このための準備期間について十分に配慮する必要がある。当審議会としては、この準備期間を考慮して、昭和六十五年四月一日以後に開始する事業年度からセグメント情報を開示せしめるよう措置することが適当であると考える。
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「セグメント情報の開示基準」では、親会社及び子会社の所在地別セグメント情報として国内及び在外別に売上高及び営業損益を開示することとしているが、セグメント情報の開示制度は我が国の企業に対して初めて適用されることから、本制度を円滑に定着させるためには受入態勢等諸条件の整備状況を考慮する必要がある。このため、本制度の一部について段階的に導入する措置を講ずることとし、当面、親会社及び子会社の所在地別セグメント情報については営業損益の開示を強制しないものとする。
しかしながら、同情報については、我が国企業の国際化、現地化の進展、開示制度の国際的調和等を併せ考慮すると今後さらに開示内容を充実していくことが必要である。このため、営業損益については、これを開示する方向で本意見書の答申後おおむね五年以内に検討することとし、また、在外子会社に関する財務情報を地域別に開示することについても、我が国企業の海外進出の動向等を勘案しつつ前向きに対応していくことが必要である。
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セグメント情報の記載箇所については、これを連結財務諸表の一部又は注記事項として記載し、公認会計士又は監査法人(以下「監査人」という。)による監査の対象とすることが、セグメント情報の信頼性の担保及び連結財務諸表の有用性の確保のために必要であると考えるが、事業区分、地域区分等セグメンテーションの方法、セグメント間における共通費の配賦方法等の会計手法及びセグメント情報の適正性を検証するための監査手法が未だ一般に公正妥当なものとして確立されていないため、当面、セグメント情報を連結財務諸表外の情報として開示することは止むを得ないものと考える。しかし、セグメント情報の開示に関する会計手法については、監査人及び企業の双方が協力して各企業に最も適切な方法を早急に確立する必要があると思われるので、その拠りどころとしての一般的ルールの作成について、日本公認会計士協会が関係者と協議のうえ措置することが適当と考える。
なお、セグメント情報を連結財務諸表において開示し、監査人による監査の対象とすることについては、上記の会計手法及び監査手法の確立時期等を勘案し、本意見書の答申後おおむね五年以内を目途とする。
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ADR等の発行会社の中には、米国証券取引委員会の規制により既に連結財務諸表においてセグメント情報を開示しているものがある。これらのセグメント情報は、従来から投資情報としての有用性が認められていることにかんがみ、その開示基準が「セグメント情報の開示基準」に定めるものと相違していても、同情報を本制度によって開示されるセグメント情報として認めても差し支えないものと考える。
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