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三 基本的考え方五 実施時期等ドキュメント情報


四 会計基準の要点と考え方

1.  対象資産

 本基準は、固定資産に分類される資産を対象資産とするが、そのうち、他の基準に減損処理に関する定めがある資産、例えば、「金融商品に係る会計基準」における金融資産や「税効果会計に係る会計基準」における繰延税金資産については、対象資産から除くこととした。また、前払年金費用についても、「退職給付に係る会計基準」において評価に関する定めがあるため、対象資産から除くこととする。

2.  減損損失の認識と測定

(1)  減損の兆候

 本基準では、資産又は資産グループ((6),砲ける最小の単位をいう。)に減損が生じている可能性を示す事象(減損の兆候)がある場合に、当該資産又は資産グループについて、減損損失を認識するかどうかの判定を行うこととした。これは、対象資産すべてについてこのような判定を行うことが、実務上、過大な負担となるおそれがあることを考慮したためである。
 企業は、内部管理目的の損益報告や事業の再編等に関する経営計画などの企業内部の情報及び経営環境や資産の市場価格などの企業外部の要因に関する情報に基づき、減損の兆候がある資産又は資産グループを識別することとなる。

(2)  減損損失の認識

 減損損失の測定は、将来キャッシュ・フローの見積りに大きく依存する。将来キャッシュ・フローが約定されている場合の金融資産と異なり、成果の不確定な事業用資産の減損は、測定が主観的にならざるを得ない。その点を考慮すると、減損の存在が相当程度に確実な場合に限って減損損失を認識することが適当である。
 本基準では、減損の兆候がある資産又は資産グループについて、これらが生み出す割引前の将来キャッシュ・フローの総額がこれらの帳簿価額を下回るときには、減損の存在が相当程度に確実であるとし、そのような場合には減損損失を認識することを求めている。この減損損失を認識するかどうかの判定は、減価償却の見直しに先立って行う。

 減損損失を認識するかどうかを判定するために見積られる割引前の将来キャッシュ・フローは、少なくとも土地については使用期間が無限になりうることから、その見積期間を制限する必要がある。また、一般に、長期間にわたる将来キャッシュ・フローの見積りは不確実性が高くなる。このため、減損損失を認識するかどうかを判定するために割引前将来キャッシュ・フローを見積る期間は、資産の経済的残存使用年数又は資産グループ中の主要な資産(資産グループの将来キャッシュ・フロー生成能力にとって最も重要な構成資産をいう。)の経済的残存使用年数と20年のいずれか短い方とすることとした。

 資産又は資産グループ中の主要な資産の経済的残存使用年数が20年を超える場合には、21年目以降に見込まれる将来キャッシュ・フローに基づいて、20年経過時点の回収可能価額((3)における回収可能価額をいう。)を算定し、20年目までの割引前将来キャッシュ・フローに加算することになる。
 また、資産グループ中の主要な資産以外の構成資産の経済的残存使用年数が、主要な資産の経済的残存使用年数を超える場合には、主要な資産の経済的残存使用年数経過以降に見込まれる将来キャッシュ・フローに基づいて、当該経済的残存使用年数経過時点の主要な資産以外の構成資産の回収可能価額を算定し、主要な資産の経済的残存使用年数経過時点までの割引前将来キャッシュ・フローに加算することになる。

(3)  減損損失の測定

 減損損失を認識すべきであると判定された資産又は資産グループについては、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として当期の損失とすることとした。
 この場合、企業は、資産又は資産グループに対する投資を売却と使用のいずれかの手段によって回収するため、売却による回収額である正味売却価額(資産又は資産グループの時価から処分費用見込額を控除して算定される金額)と、使用による回収額である使用価値(資産又は資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来キャッシュ・フローの現在価値)のいずれか高い方の金額が固定資産の回収可能価額になる。
 また、正味売却価額を算定する場合の時価とは、公正な評価額であり、通常、それは観察可能な市場価格をいうが、市場価格が観察できない場合には合理的に算定された価額がそれに該当することになる。
 なお、減損損失は、固定資産売却損などと同様に、固定資産に関する臨時的な損失であるため、原則として、特別損失とすることとした。

(4)  将来キャッシュ・フロー

 減損損失を認識するかどうかの判定及び使用価値の算定に際して、将来キャッシュ・フローを見積る必要がある。このような将来キャッシュ・フローは、資産又は資産グループの時価を算定するためではなく、企業にとって資産又は資産グループの帳簿価額が回収可能かどうかを判定するため、あるいは、企業にとって資産又は資産グループがどれだけの経済的な価値を有しているかを算定するために見積られることから、企業に固有の事情を反映した合理的で説明可能な仮定及び予測に基づいて見積ることとした。

 将来キャッシュ・フローは、現時点における資産又は資産グループの回収可能性を反映すべきであることから、資産又は資産グループの現在の使用状況及び合理的な使用計画等を考慮して見積られる必要がある。したがって、計画されていない将来の設備の増強や事業の再編の結果として生ずる将来キャッシュ・フローは、見積りに含めないこととした。また、将来の用途が定まっていない遊休資産については、現在の状況に基づき将来キャッシュ・フローを見積ることになる。
 一方、資産又は資産グループの現在の価値を維持するための合理的な設備投資については、それに関連する将来キャッシュ・フローを将来キャッシュ・フローの見積りに含めることになると考えられる。

 将来キャッシュ・フローの見積りの方法には、生起する可能性の最も高い単一の金額を見積る方法と、生起し得る複数の将来キャッシュ・フローをそれぞれの確率で加重平均した金額(期待値)を見積る方法がある。これらのうち、企業の計画等に基づいて単一の金額を見積る前者の方法が一般的であると考えられるが、企業が固定資産の使用や処分に関して、いくつかの選択肢を検討している場合や、生じ得る将来キャッシュ・フローの幅を考慮する必要がある場合には、期待値を用いる後者の方法も有用であると考えられるため、いずれの方法も適用できることとした。

 使用価値の算定においては、将来キャッシュ・フローがその見積値から乖離するリスクについて、将来キャッシュ・フローの見積りに反映させる方法と割引率に反映させる方法のいずれの方法も認めることとした。他方、減損損失を認識するかどうかを判定する際に用いる割引前将来キャッシュ・フローの算定においては、将来キャッシュ・フローがその見積値から乖離するリスクを将来キャッシュ・フローに反映させるか否かで異なる結果が導かれることになるため、リスクを反映させない方法で統一した。

 資産又は資産グループの将来キャッシュ・フローを見積るためには、当該資産又は資産グループが将来キャッシュ・フローを生み出すために必要な本社費等の間接的な支出も考慮する必要がある。したがって、資産又は資産グループに関連して間接的に生ずる支出は、関連する資産又は資産グループに合理的な方法により配分し、当該資産又は資産グループの将来キャッシュ・フローの見積りに際し控除することとした。

 利息の支払額並びに法人税等の支払額及び還付額については、通常、固定資産の使用又は処分から直接的に生ずる項目ではないことから、将来キャッシュ・フローの見積りには含めないこととした。

(5)  使用価値の算定に際して用いられる割引率

 資産又は資産グループの使用価値の算定に際しては、将来キャッシュ・フローがその見積値から乖離するリスクを反映させる必要がある。その方法としては、将来キャッシュ・フローの見積りに反映させる方法と、割引率に反映させる方法がある。前者を採用した場合には、割引率は貨幣の時間価値だけを反映した無リスクの割引率となり、後者を採用した場合には、割引率は貨幣の時間価値と将来キャッシュ・フローがその見積値から乖離するリスクの両方を反映したものとなる。
 また、将来キャッシュ・フローが税引前の数値であることに対応して、割引率も税引前の数値を用いる必要がある。

(6)  資産のグルーピング

 資産のグルーピングの方法

 複数の資産が一体となって独立したキャッシュ・フローを生み出す場合には、減損損失を認識するかどうかの判定及び減損損失の測定に際して、合理的な範囲で資産のグルーピングを行う必要がある。
 そこで、資産のグルーピングに際しては、他の資産又は資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位で行うこととした。実務的には、管理会計上の区分や投資の意思決定(資産の処分や事業の廃止に関する意思決定を含む。)を行う際の単位等を考慮してグルーピングの方法を定めることになると考えられる。
 なお、連結財務諸表は、企業集団に属する親会社及び子会社が作成した個別財務諸表を基礎として作成されるが、連結財務諸表においては、連結の見地から資産のグルーピングの単位が見直される場合がある。

 資産グループについて認識された減損損失の配分

 資産グループについて認識された減損損失は、当該資産グループの各構成資産に配分する。その方法としては、帳簿価額に基づいて各構成資産に比例配分する方法が考えられるが、各構成資産の時価を考慮した配分等他の方法が合理的であると認められる場合には、当該方法によることができることとした。

(7)  共用資産の取扱い

 共用資産

 本基準では、複数の資産又は資産グループの将来キャッシュ・フローの生成に寄与する資産のうち、のれん以外のものを共用資産と呼んでいる。例えば、全社的な将来キャッシュ・フローの生成に寄与する本社の建物や試験研究施設が該当するが、全社的な資産でなくても、複数の資産又は資産グループを含む部門全体の将来キャッシュ・フローの生成に寄与している資産は、当該部門の共用資産となる。

 共用資産に係る資産のグルーピング

 共用資産の取扱いについては、共用資産と、その共用資産が将来キャッシュ・フローの生成に寄与している資産又は資産グループを含む、より大きな単位でグルーピングを行う方法と、共用資産の帳簿価額を各資産又は資産グループに配分して、配分後の各資産又は資産グループについて減損損失の認識と測定を行う方法があるが、一般に、共用資産の帳簿価額を合理的な基準で各資産又は資産グループに配分することは困難であると考えられるため、本基準は、前者の方法を原則としている。すなわち、共用資産に減損の兆候がある場合の共用資産に係る減損の判定は、共用資産が関連する複数の資産又は資産グループに共用資産を加えた、より大きな単位で行う。ただし、共用資産の帳簿価額を合理的な基準で配分することができる場合には、各資産又は資産グループに共用資産の帳簿価額を配分することもできることとした。この場合には、共用資産に減損の兆候があるかどうかにかかわらず、その帳簿価額を各資産又は資産グループに配分することとなる。

 より大きな単位でグルーピングを行う方法を採用した場合の会計処理

 共用資産に関して、より大きな単位でグルーピングを行う場合には、減損の兆候の把握、減損損失を認識するかどうかの判定及び減損損失の測定は、先ず、共用資産を含まない資産又は資産グループごとに行い、その後、共用資産を含む、より大きな単位で行うことになる。
 また、共用資産を含む、より大きな単位でグルーピングを行う場合には、共用資産を含まない各資産又は資産グループにおいて算定された減損損失控除前の帳簿価額に共用資産の帳簿価額を加えた金額と、割引前将来キャッシュ・フローの総額とを比較することによって、減損損失を認識するかどうかを判定する。その結果、減損損失を認識することとなった場合には、共用資産を加えることによって算定される減損損失の増加額は、原則として、共用資産に配分する。ただし、共用資産に配分された減損損失が、共用資産の帳簿価額と正味売却価額の差額を超過することが明らかな場合には、当該超過額を合理的な基準により各資産又は資産グループに配分することとなる。

 共用資産の帳簿価額を資産又は資産グループに配分する方法を採用した場合の会計処理

 共用資産の帳簿価額を各資産又は資産グループに配分したうえで減損損失を認識するかどうかを判定する場合には、各資産グループについて認識された減損損失は、帳簿価額に基づく比例配分等の合理的な方法により、共用資産の配分額を含む当該資産グループの各構成資産に配分する。

(8)  のれんの取扱い

 のれんの帳簿価額の分割

 のれんが認識される取引において、取得の対価が概ね独立して決定され、取得後も内部管理上独立した業績評価が行われる複数の事業が取得される場合がある。このような複数の事業に係るのれんを一括して減損処理することは適当ではない。したがって、のれんの減損処理を検討するに当たり、その帳簿価額は、先ず、のれんが認識された取引において取得された事業の単位に応じて、合理的な基準に基づき分割することとした。

 のれんに係る資産のグルーピング

 のれんは、それ自体では独立したキャッシュ・フローを生まないことから、分割されたそれぞれののれんに減損の兆候がある場合に、減損損失を認識するかどうかの判定は、共用資産と同様に、のれんが帰属する事業に関連する複数の資産グループにのれんを加えた、より大きな単位で行うこととした。ただし、のれんの帳簿価額を関連する資産グループに合理的な基準で配分することができる場合には、のれんの帳簿価額を各資産グループに配分したうえで減損損失を認識するかどうかを判定することができることとした。この場合には、のれんに減損の兆候があるかどうかにかかわらず、その帳簿価額を各資産グループに配分することとなる。

 より大きな単位でグルーピングを行う方法を採用した場合の会計処理

 のれんに関して、より大きな単位でグルーピングを行う場合には、減損の兆候の把握、減損損失を認識するかどうかの判定及び減損損失の測定は、先ず、のれんを含まない資産グループごとに行い、その後、のれんを含む、より大きな単位で行うことになる。
 また、のれんを含む、より大きな単位でグルーピングを行う場合には、のれんを含まない各資産グループにおいて算定された減損損失控除前の帳簿価額にのれんの帳簿価額を加えた金額と、割引前将来キャッシュ・フローの総額とを比較することによって、減損損失を認識するかどうかを判定する。その結果、減損損失を認識することとなった場合には、当該判定単位の超過収益力がもはや失われていると考えられるため、のれんを加えることによって算定される減損損失の増加額は、原則として、のれんに配分する。ただし、のれんに配分された減損損失が、その帳簿価額を超過する場合には、当該超過額を合理的な基準により各資産グループに配分する。

 のれんの帳簿価額を資産グループに配分する方法を採用した場合の会計処理

 のれんの帳簿価額を各資産グループに配分したうえで減損損失を認識するかどうかを判定する場合には、各資産グループについて認識された減損損失は、同様の理由により、のれんに優先的に配分し、残額は、帳簿価額に基づく比例配分等の合理的な方法により、当該資産グループの各構成資産に配分することとした。

 企業結合会計に関する審議との関係

 このようなのれんの取扱いは、現行の会計制度において、のれんが資産計上され、一定の期間で償却される場合を前提としている。当審議会の第一部会では、企業結合に係る会計基準の審議が行われており、これには、のれんに係る会計処理も検討の対象に含まれている。したがって、企業結合会計に係る会計基準の設定に際し、減損の兆候、資産のグルーピング、回収可能価額の算定等について、別途の検討を行う必要性が生ずる場合がある。

3.  減損処理後の会計処理

(1)  減価償却

 減損処理を行った資産についても、減損処理後の帳簿価額をその後の事業年度にわたって適正に原価配分するため、毎期計画的、規則的に減価償却を実施することとなる。

(2)  減損損失の戻入れ

 減損処理は回収可能価額の見積りに基づいて行われるため、その見積りに変更があり、変更された見積りによれば減損損失が減額される場合には、減損損失の戻入れを行う必要があるという考え方がある。しかし、本基準においては、減損の存在が相当程度確実な場合に限って減損損失を認識及び測定することとしていること、また、戻入れは事務的負担を増大させるおそれがあることなどから、減損損失の戻入れは行わないこととした。

4.  ファイナンス・リース取引の取扱い

 ファイナンス・リース取引に係る借手側の会計処理方法としては、通常の売買取引に係る方法に準ずる会計処理(売買処理)のほか、リース物件の所有権が借手に移転すると認められるもの以外の取引については、通常の賃貸借取引に係る方法に準ずる会計処理(賃貸借処理)が認められている。売買処理を採用している場合には、借手側が当該ファイナンス・リース取引により使用している資産(リース資産)は、本基準の対象資産となり減損会計が適用されるが、賃貸借処理を採用している場合であっても、売買処理を採用した場合との均衡上、減損会計と同様の効果をもつ会計処理を行う必要がある。
 このため、賃貸借処理を採用している場合のファイナンス・リース取引に係るリース資産又は当該リース資産を含む資産グループの減損処理を検討するに当たっては、当該リース資産の未経過リース料の現在価値を当該リース資産の帳簿価額とみなして本基準を適用することとした。この場合、リース資産に配分された減損損失は負債として計上し、リース契約の残存期間にわたり規則的に取崩すこととなる。

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